今月頭に日本でも公開され、アカデミー賞で作品賞など4部門を受賞した話題の映画「シェイプ・オブ・ウォーター」


わたしも観て参りました!



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観に行ったのはアカデミー賞授賞式が行われる前だったのですが、鑑賞後「これは選ばれますわ。」と思いましたw







以下、ネタバレあり








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作品自体は好みかと聞かれたら、正直そうではないです。

好みではないけれど引き込まれる。

鑑賞後、頭から離れなくなる作品でした。



声を持たない人間の女性とクリーチャーの種の垣根を越えたラブロマンス。

そんなチープなものでは片付けられません。


これは「はみ出し者たちの物語」でした。



生来、声を発することが出来ない障害を持つイライザ。

彼女の親友でありクリーチャーを救出する手助けをする、ゲイの絵描きジャイルズ。

イライザの同僚で黒人のゼルダ。


当時のアメリカでは彼女たちは「はみ出し者」であったことでしょう。


スパイであるホフステトラー博士もまた、所謂「普通」ではない側の人間でした。





立ちはだかるのは差別主義者、権力主義者と表現するのも悲しいほどの男ストリックランドです。

美しい妻と可愛い子供を持ち、成功の証の高級車を買い、地位のある「普通」側のストリックランド。

彼は物語の序盤で文字通り彼の一部を失います。


何とか今まで通りに繋ぎ止めようとするけどどんどん誤魔化しが効かなくなる。

だけど彼の中にある価値観によってイライザたちの側へはいけないのでした。




わたしが一番印象に残った登場人物は、パイ屋のお兄さんです。

一見、「ひどいやつ!」ってだけのシーンでしたがもしかしたらわたしが一番近いのは彼なのではないでしょうか。


彼にとって訛りは直すものであり、ゲイは忌み嫌うものなのです。

(念のため、わたし自身にはそういった考えは持っていません)

それが彼の中では世界の常識であり、「普通」である当たり前のこと。


誰が決めたわけでもない、けれどそこに確かに存在する「普通」。

「普通」を強要されていることに疑問すら持たず、他人にも押し付けてそこからはみ出した者には冷たい視線を送る。


クリーチャーが猫を食べてしまうシーン。

飼い猫を食べられてしまったジャイルズはこう言います。


「彼にとっては普通のこと。」



自分と違う文化や思想を目の当たりにしたときカルチャーショックを受けるけれど、自分の「普通」を押し付けるのはお門違いなのではないでしょうか。





「はみ出し者」のイライザとクリーチャー。

全ては今までと同じとはいかなくなったけど、彼女たちが末永く幸せに暮らしたことを信じたいですね。



、、だけどジャイルズはひとりぼっちになっちゃうじゃない!!

もしかしたらゼルダがいい友人になってくれるのかもしれませんね。



「シェイプ・オブ・ウォーター」、素晴らしい映画でした。